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「本当の自分」という夢から覚める瞬間(OFF White「白昼夢」を読む)

はじめに

おはようございます、こんにちは、こんばんは。一Dこと一大です。
今回はアプリゲーム『Tokyo 7th シスターズ -THE SKY'S THE LIMIT-』に登場するユニットOFF Whiteの楽曲「白昼夢」の歌詞を読もうのコーナーです。

OFF White「白昼夢」ジャケットイラスト

これを書いている経緯は以下の通りです。

今回、歌詞を読んで分かること(ここまでは言えそうなこと)、それを踏まえて感じることに触れた後、ナナシスのゲーム内エピソードを踏まえてどう意味づけできるのか、そして曲名でもある「白昼夢」とは何なのかを自分なりに考えてみます。

OFF White「白昼夢」の歌詞を読みます

最初なので丁寧に冒頭の歌詞から読んでみます。

他人の為だけに生きる"ワタシ"の毎日

どこかに"ワタシ"がいます。"ワタシ"はどんな日々を過ごしているか。

誰かの為だけに生きる毎日を過ごしています。鳥籠の中で歌うカナリアのように。
「誰かの為だけ」ということは、翻って「自分の為ではない」日々を過ごしているということでしょうか。

そんな"ワタシ"に誰かが問いかけます。

鏡の向こうの貴方、つまり自分に対して「誰?」と問うている。鏡に映った自分が自分と分からなくなっています。危ういですね!

その次の行の「実体だけの幻想なの?」は正直なところ解釈が難しいと感じてます。
なぜなら「実体」は本来「ある存在の核となるような本質」のこと。むしろ、実体のないものを幻と呼ぶことの方が自然に感じます。では「実体だけの幻想」とは何なのか。

一旦、ここまでの流れを整理します。
"ワタシ"は誰かの為だけ毎日を生きており、そのせいで自分が分からなくなっている。
生きて日々を過ごす動く「実体」としての"ワタシ"はあるが、鏡に映る自分が誰か分からない。自分が「幻想」のように思える。

"ワタシ"が分からず、自分の存在を証明できずに不安定な状態です(「ゆらり揺れる存在証明」)
誰かの為だけに生きているせいで自分自身が「幻想」(≒夢)のように感じられるが、実体をもって現実を生きてもいる。現実と夢の狭間で"ワタシ"が揺れています。
そんな状況の中で「本当の自分はこうじゃない」と臆病な私が彷徨っている。

サビの歌詞はAメロ・Bメロの流れを受けて、他人の為だけに生き過ぎることで自分が分からなくなっている状況での心の戸惑いを歌っている、と言えそうです。

2番の歌詞について

2番の歌詞については詳細は割愛しますが、同様に解釈していくと、Aメロ・Bメロでは影法師や操り人形に自分を喩えることで、言われるまま誰かの理想に逆らえずに踊るだけの"ワタシ"を歌っています。弱い心は蝕まれていきます。

曲のラストに向けて

曲のラストに向けて、メロディの転換とともに、私はもう一度「白昼夢」を振り切るように自分の胸に問いかけます。

疑問を抱いて、誰かの為だけに生きるのが当たり前だった毎日を壊す可能性に思い至ります。
「これでいいの?」と自問自答し、自分の胸(ここ)にある真実を信じることを決意します。

そしてついに「空白の未来に私を描く」「誰の為でもないユメを(描く)」と力強く歌います。

1番サビの歌詞と酷似しているのですが、絶妙に違うことに注目したいです。
分かりやすい箇所だと「夢」が「ユメ」に変わっています。
かつては自分が分からない状態(夢)と現実の狭間で揺れていたけど、今は「空白の未来に描く私(=誰の為でもないユメ)」と現実の狭間で揺れています。

自分が分からなくなって揺れ動いていた私は「今はもう違」って、空白の未来を前にしたかつてとは別種の不安を抱いています。

ここまで歌詞から読み取れそうなことをつらつらと書いてきました。

誰かの為に生き過ぎて不安定になっていた自分の未来を、自分の為に描いていく、という私の再起を歌った歌である、と概して説明することが可能なのかなと思います。

白昼夢を振り払う転換点について

私と「白昼夢」の微妙な関係

さて、ここで個人的に注目したいのが、サビのラスト部分「微かに残る白昼夢」「今も感じる夢現」「静かに消えた白昼夢」の表現の変遷です。

まず1番サビの表現について。てっきり「白昼夢」の真っ最中のことを歌っているのかと思いきやどうやらそうではなく、「白昼夢」は「微かに残る」程度らしい。

2番サビ「今も感じる夢現」。「夢現」とは夢とも現実とも区別がつかない状態のことなので、おそらく「白昼夢」と似た状態を意味しています。

つまり、「白昼夢」は私にとって「微かに残」っているし、「今も感じる」ものである。少し過去のことだが、今も微かにその影響下にいる。

そして、ラストのサビで「白昼夢」は静かに消えます。

一連の流れを総合すると、微かに残っていた白昼夢が消える、最後の瞬間を歌った歌のようです。

なぜ「白昼夢」が「微かに残る」時点からスタートしているのか

分かりやすさを優先するならば、「白昼夢」の真っ最中で何か大切なことに気づいて目が覚めたよ!!!やったぜ!!!というストーリーの方がシンプルな気がするのですが、なぜこの楽曲では「白昼夢」から少し覚めて「微かに残る」状態からスタートしているのか。

それはこの歌をゲーム内エピソードと合わせて聴くことで意味づけできるのではないかと考えています。

OFF Whiteのボーカル【アリナ・ライスト】の歩みについて

なぜ「白昼夢」が少し覚めた状態からスタートするのか。

「白昼夢」を歌うユニットOFF Whiteのボーカル、アリナ・ライストというキャラクターの詳細な歩みはぜひナナシス2053のエピソードを読んでいただくとして…。

ネタバレを最小限にしつつ簡単におさらいすると、

  • アリナ・ライストは幼い頃から母の期待に応えるべく芸能界で活動し、トップを目指していたが、スキルは身に付いたものの中々目立った結果を残せずに燻っていた
  • グループのメンバーからも慕われる存在であろうと頑張っていた
  • が、そういう生き方をやめて、地下アイドルとして活動することにした

というのがOFF White結成時点のアリナ・ライストの歩みだったと思います。

エピソード既読勢はもうお分かりかと思いますが、この「母の期待に応えようと頑張っていた」「グループのメンバーから慕われる存在であろうと気遣いをしていた」のがまさしく、この曲で歌われている"ワタシ"が曖昧だった状態と重なる部分があり、「白昼夢」のど真ん中状態。

現在のアリナは、そんな生き方をやめて地下アイドルとして活動することに決めているので、「白昼夢」から覚めつつある状態であると言えそうです。

エピソード「その手を取って、星に掲げて」とのつながり

さらに、EPISODE 2053 SEASON2-004「その手を取って、星に掲げて」を読んだ方はさらにお分かりいただけると思うのですが、あのエピソードでは、まさに「微かに残」っていた白昼夢から完全に覚めたアリナの姿が描かれました。

天使のような笑顔のアリナ・ライストさん

*1

この楽曲において歌われている、「微かに残る」白昼夢が静かに消えていく瞬間こそ、エピソード「その手を取って、星に掲げて」で描かれた瞬間なのではないか、というのが個人的な解釈です。

「白昼夢」とは何か

OFF Whiteが歌う、(あるいはアリナ・ライストにとっての)「白昼夢」とは、誰かの為だけに生きる毎日の中で、私と"ワタシ"(実体だけの幻想)が分からなくなる状態のことだと言えます。

さらに、この楽曲の妙は、長年他人軸で生きてきた人間が自分軸で行き始めた時の「微かに残る白昼夢」について歌っている点です。

あり体に言えば、「人は変われるけれど、変わったと思ってても以前の価値観の影響残っちゃってることあるよね……怖い怖い。でも変われるよ!」という非常に人間らしい変化の瞬間を歌っている点が素晴らしい。

しかも、これってナナシスの原点である「Star☆Glitter」に通じることを歌ってるからナナシス2053もナナシスなんだなあということを改めて感じています。

(「Star☆Glitter」セブンスシスターズ)

というところで、この辺で筆をおきたいと思います。

謝辞

Team 7thの皆様、キャストの皆さん、「白昼夢」作詞作曲の法戸祐樹様、缶詰スペースを企画してくれただいナナメンバー、缶詰スペースに来てくれたリスナーの皆様、日頃から応援いただいているフォロワーの皆様に感謝を。

この記事を読んで、「こういうことも言えそう!」という感想などあればぜひコメントいただけると嬉しいです。

*1:せっかく仲良くなったマイに対してアリナの中で疑念が生じたことで、ライバルを蹴落としていた頃の自分に戻りかけてしまい、闇落ちしそうになるというか、道を踏み外しそうになる描写があったと思います。