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いつの日か空に咲く~We are not instant~(ハルカゼ - CHAIN THE BLOSSOM - 感想1)

2017.04.22-23「t7s 3rd Anniversury Live in Makuhari Messe 17'→XX' - CHAIN THE BLOSSOM -」に参加してきました。泣いて、笑って、楽しくて。そして、前に踏み出す勇気をもらったライブでした。

ナナシスがずっとやりたかったこと

2.5Live後のインタビューで茂木さんが3rd Liveについてこんなことを言っていました。

ネタバレになるので具体的には言えないですが、一番最初から僕がやりたいと思っていたことを今回はやろうと思っていますね。楽しみにしていてもらえれば幸いです。

また、今回のライブのパンフレットにこんなことが書かれていました。

最初から内容としてのテーマ(やろうとしていること)はありました。

ただ、作品としてのテーマ(伝えたいこと)はありませんでした。

 

タイトルは「CHAIN THE BLOSSOM」。

でも、何故そうしたのか、自分でもよくわかっていませんでした。

 

それがわかったのは、つい最近のことで、練習中にあるキャストさんからこんなことを言われたときでした。

 

――なんだか卒業式みたいですね。もしかして、終わらせようとしていませんか?

 

なんとも馬鹿げた話ですが、僕はいつもこうなのです。

自分で選んだことの意味や理由を、自分以外の誰かが教えてくれる。

 

終わらせようとしているのではありません。

繋ごうとしているのです。

一歩一歩、繰り返し、足を前に出そうとしているのです。

『ハルカゼ - CHAIN THE BLOSSOM - に寄せて』(by茂木伸太郎)より

おそらく、内容としてのテーマは生演奏を取り入れた正真正銘の"ライブ"です。では、伝えたかったことは何だったのか。僕がライブで感じ、考えたことを書き記していきたいと思います。

THIS IS THE "LIVE"

この言葉は、力強い音楽と共に映し出されたIntroムービーに出てきたものです。Introムービーは本当にしびれました。記憶を辿っていきます。

寿クルトの開演前諸注意*1で和みつつ温まった会場に突如として提示される"今日の日付"。ナナシスのライブを知っている人にはお馴染みの、未来へのカウントアップの始まりです。しかし、今回は違いました。

2030年や2034年で数字の色が赤や水色に変わりはしたものの、そこで止まらない。向かった先は……20XX

ARE YOU READY ??

この文字列を目の当たりにした時点で、開幕はあの曲か?という予感が生まれます*2。興奮を抑えつつ、画面に集中。

WELCOME

ご丁寧にどうも!いつもお世話になっております!!

TO THE 3RD

はい、3rdです。でも、なんで3RDで区切った?普通に3RD LIVEじゃだめなんですか?ダメなんです。理由がありました。

THIS IS

「This is」構文はこれまでもTV SPOT*3とか2nd LiveのIntroムービーとかで見覚えのあったやつだ……。

THE "LIVE"

 「THIS IS "LIVE"」。何なのその思わせぶりなダブルクオーテーションは、どういう意味なの……。とでもいうと思ったか、分かってるよ!今回は生歌*4バン*5ってことだろ!!わかりやすい!!でもそういうまっすぐなところが好き!!

そして、ここからのBGMの展開が本当に熱くて、生演奏であることをガンガン主張してくる感じだったんですよね。「実は演奏も生で~~す!!」というサプライズ。今考えると本当にニクい演出です。

Introムービー回想はまだまだ続きます。というか、ここからが大事です。

THIS IS NOT INSTANT

息が止まる僕(ライブ前に公開された総監督インタビュー*6の淡い記憶を思い出しながら……)

YOU ARE NOT INSTANT

来た!!「You are」構文!!「君は○○だ(ではない)」と語り掛けるタイプのド直球なメッセージの届け方は、茂木さんの魂に沁み込んだ庵野秀明リスペクト。*7

THIS IS

THE "LIVE"

 このライブも、君も、インスタントではない。これは"いのち"なんだ*8

CHAIN THE ...

そしてここから画面に次々と映し出されるCHAIN THE XXというフレーズの数々*9

CHAIN THE STEPS

CHAIN THE TEARS

CHAIN THE ANGER

CHAIN THE FAILURE

CHAIN THE STORY

CHAIN THE TRY

CHAIN THE "LIVE"

ライブ中はただもう音と映像を感じながら文字列を目に刻むことしかしてませんでしたが、日本語に訳して意味を探ってみます。

一歩一歩を繋げ。泪*10を繋げ。怒り*11を繋げ。失敗を繋げ。物語*12を繋げ。努力*13を繋げ。"いのち"を繋げ。

次々に表示されていくフレーズを見ながら、僕は茂木さんの3周年記念コメント*14を思い出していました。できればリンクをたどって全文読んでもらいたいのですが、最後の文を紹介します。

一歩一歩時間はかかりますが、これからもナナシスという作品を皆さまにお届けするべく、日々がんばりますので、引き続きナナシスをよろしくお願いします。

時間がかかるのです。インスタント食品のように即席で出来上がるわけではない。

そして、これらのフレーズがたくさんの花弁になって円形に繋がっていって、やがて一輪の花になり……

THIS IS

THE ONE

AND YOURS

3rd Liveは、これまでのすべてが繋がって咲く、美しい一輪の「ナナシスの」花。そして、ライブに来たすべての「君の」花。

CHAIN THE BLOSSOM

タイトル回収!!花を繋げ!!

今日ここで咲く花はインスタントではない。ここまで来るのには時間がかかったけれど、これまでの一歩一歩があったからこそ咲くことが出来る花がある。今日ここで咲く花を、次に咲く花に繋げよう。

そういう熱いメッセージを僕は受け取りました。そして、このメッセージが嘘ではなかったことは、この後のステージでさんざん見せつけられました。これを読んでいる人でライブに行った方々は、ナナシスの歩みや絆が花を咲かせた瞬間をたくさん目撃なさったのではないでしょうか。

具体的な話を挙げ出したら長くなりそうなのでこの記事では割愛しますが、ナナシスがこれまで歩んできた一歩一歩があったからこそ、BLOSSOMは美しく咲きました。僕はこの胸で確かにそう感じました。

My Soul is not Changed

セブンスシスターズのパフォーマンス後はOPムービー。さくら色をキーカラーにこれまでのアイドルたちとこれまでの作品(CD、ライブ)が紹介される中で、こんな言葉がありました。

Rebuilt*15

Transformed

But

Not Changed

"再構築され、姿形を変えられる。しかし、変えられていないものがある"(筆者訳)

The World will be Changed

The Sound will be Changed

But

My Soul is not Changed

"世界は変えられてゆく。音楽は変えられてゆく。しかし、私の魂だけは何者にも変えられていない。"(筆者訳)

これを見たときはもう本当にシビれました……。文章が中二病っぽくてかっこいいというのもそうなんですが、それが口先だけじゃないというのが最高にかっこいい。

今回のライブはバンドによる生演奏。実際にすべての音がいつもと違う("Transformed"な)姿をしていたわけです。しかし、中身はそのままに、むしろいつも以上に刺さりました。形は変わるが想いは変わらない、ということで『KILL☆ER☆TUNE☆R』の話をしたいんですがここでは割愛します。

ナナシスの魂はこれまでもこれからも変わらない*16と言うのは簡単ですが、パフォーマーとスタッフの力でそれを実現してしまうのが、ナナシスの恐ろしいところです。

 誰かの背中を押すために

「誰かの背中を押す」ことがナナシスの本質だということは、「t7s Longing for summr Again And Again~ハルカゼ~」の発表後に各所*17で茂木さんがこれでもかというくらい語ってくれています。

そして今回、キャストの皆さんも、MCや公演前後のTwitter等で「誰かの背中を押す」ということを度々仰っていました。きっと、ライブにはこれまでより一層強く「誰かの背中を押す」という想いが込められていたはずです。

「誰かの背中を押すために」生まれた歌を、「誰かの背中を押すために」届ける。とてもシンプルです。

キラキラ届けたくて

ここから歌うメロディ

「H-A-J-I-M-A-R-I-U-T-A-!!」のこの歌詞の通り、ナナシスの歌は「ここ」(心)から歌われるものばかりなんだな、とライブの最中に何度も思いました。想いは最初にライブをやったときから、変わっていませんでした。

「いつか誰かの光になるんだ」

セブンスシスターズから物語を繋いだのは777☆SISTERSの12人でした。Introムービーにあった「CHAIN THE STORY」というフレーズを思い出しながら、ユニット名を呼ぶと……聞こえてきたのは12人の叫び。

「こんな私でも いつか 誰かの光になりたい!!!」

「FUNBARE☆RUNNNER」では

MOOO☆I☆KAI!!!!!!!!!!

I☆KU☆ZOOOO!!!!!!!!!

といって、もう一度センターステージに"前進"してくるのが印象的でした。「このままあきらめたい」と思わない自分を信じて、何度も"前に進む"ということを身をもって示してくれた777☆SISTERSの12人には感謝しかありません。皆ががんばっているから僕もがんばろう、素直にそう思えました。

「今日は届きそうな気がするんだ」

「FUNBARE☆RUNNNER」から間髪入れずに777☆SISTERSが届けてくれたのは「僕らは青空になる」。踏ん張って走っているときに見上げた青空は、夏(夢が叶う瞬間)の訪れを感じさせます。

叶わないだけの夢もあると キミはちょっと悲しく笑うけど

あの日から履いて傷んだシューズは そんなことじゃキミを裏切らないから

高過ぎてあきらめた青空に 今日は届きそうな気がするんだ

今日は夢に届きそう、そんな予感が確かにしました。

「空に咲く」

「支配人さん、覚えていますか?」

というハルの一言から始まる「呼びかけ」は、ナナスタシスターズと支配人が歩んできた日々、ナナシスと支配人が歩んできた日々を思い出す時間をくれました。パンフレットに書いてあったように、確かに卒業式のようでした。

「聴いてください。『ハルカゼ』」

前奏が始まり12人が端から順番に座っていき、ハルひとりだけが立ち上がります。

風のない春の陽射しのなか

いま君はひとり歩き出した

このとき、ハルとして歌っている篠田さんの歌声*18に心を奪われました。あの時彼女は誰に向けて歌っていたのでしょうか…。ハルかもしれないし、彼女自身かもしれないし、自分以外の誰かかもしれない。ただ、優しい気持ちだということは声色から伝わってきました。

ここから順に、メンバーが加わって歌っていくのですが、これまでの出会いや、悩みや、踏ん張ってきたことが思い出されました。

歩きだした君の一歩は

いつの日にか春風になる

この言葉は、人を勇気づけるためにつかれた嘘ではありません。ひとつの真実です。

なぜならば、僕が777☆SISTERSの12人に何度も背中を押されてきたからです。そんな彼女たちの一歩一歩がこの春風に繋がっているのなら、この言葉はやはり僕にとっては真実です。

この箇所だけではありません。きっとこの歌のすべてがナナシスの本当の気持ちです。

ナナシスは一歩一歩、ゆっくりではあるけれども前に進んできて、美しい花を咲かせてきました。そして、3rdライブのステージでこれまでよりも美しい花をいくつも咲かせました。

だから今、僕は心から信じることが出来ます。こんな自分でもきっと――

いつの日か空に咲く

 

歌の最後に777☆SISTERSの12人が腕を伸ばして咲かせた大きな一輪の花が、僕には忘れられません。あの花こそが、12人のキャラクターや12人のキャストだけではなく、あのステージに関わったすべての人が咲かせた花だったと僕は信じています。

またあした

「ハルカゼ」の後のEDムービー。それはナナスタシスターズからの手紙という形で始まりました。

最初は小さな願いだったけれど、今は少し違う。

花のようになりたい

ただそこに在るだけで誰かの背中を押せるような花になりたい、そう綴られていましたが、僕にとっては既にナナシスは花のような存在でした。

花は生きています。小さな種から芽吹き、雨風に耐え、空に向かって腕を伸ばし、ようやく花を咲かせます。それは、ナナシスがやってきたことに似ていると思うんです。

このライブのIntroにあったように*19ナナシスも一歩一歩前に進んできました。そしてこの日、花を咲かせました。

だから、僕にとってナナシスは既に花のような存在です。

手紙にもあったように、明日には散ってしまうかもしれないし、ライブの後はお別れなんですが、「今日ここで花が咲いた」という思い出はずっとこの胸に残ります*20。その胸に残る願いは――

またあした

そして、さらにEDムービーは続いてゆきます。これまでの音楽作品のジャケットや、エピソードが流れてきて、ナナシスの一歩一歩を振り返る。生い茂っていくみどりがやがて花を咲かせる映像は、これまでのナナシスの歩みを象徴しているかのようでした。花が大きな輪っかを成して、ついに公開される特報。

決して驚くほど大きい一歩ではありませんでした。だけど、どれも確かな一歩でした。当然と言えば当然です。これまで一歩一歩前に進んできたナナシスの魂は、これからも変わらないのだから。

最初の想い

最後の曲は、ナナシスの最初の想いが詰まった「Star☆Glitter」。形を変え、音を変えても、変わらなかったナナシスの魂が込められた曲でした。

君の傍に輝く星

足りなかったら

夜空を掬って届けよう

星の瞬きも、花が咲く時間も、一生の長さに比べれば一瞬かも知れません。でも、一瞬だからこそ美しいし、勇気をもらえます。また、「花が咲かない日々」があるからこそ、花が美しく咲きます。

ピンク色のTシャツを着たキャストの笑顔のひとつひとつがBLOSSOMでしたし、きっと客席にもたくさんのBLOSSOMが咲いていたと思います。間奏でのウェーブはセンターステージを中心に咲いた、大きな花だったのかもしれませんね。

そしていつもの日々へ

最後の曲のあとはお馴染みのBGM「ハッピーエンド☆Ver.DAZU」。

キャストが順番に隣の人と手を繋いでいって深く礼をする光景を見ていて、「キャストの繋がり」を強く感じました。ひとりひとりの努力はもちろんそうですが、キャスト同士の絆があったからこそ、素晴らしいステージになったのだろうなと、改めて感じました。

そして、舞台から捌けたあとのステージを降りたキャストをスクリーンに映し出す毎度おなじみのコーナー。

僕はこの舞台裏生中継が本当に好きです。役者としてではなく、ひとりの人間としての達成感に溢れた表情をみるのが本当にほっとするんです。ああ、この人たちも同じ人間なんだなって安心するというか。

にしても、今まで以上に投げキッスが多かったのは僕の気のせいでしょうか(笑)

CHAIN THE BLOSSOM

これまでのライブでは、ナナシスの舞台である近未来に行って帰ってくるという演出がありましたが、今回は20XXに向かってそのままでした。向かう先はどこなのでしょう。それはきっと「前」です。

あの日咲いた花に貰った勇気を胸に、僕は一歩一歩、前に進んでゆきます。

この道の先にある、泪も、怒りも、失敗も、"いつの日か"空に咲く花に繋がることを信じて。

 

 

P.S. スタッフ、キャストの皆さまへ

素晴らしいライブをありがとうございました。また来年も会いましょう。

*1:「ライブではスッポンポンになってはいけない」

*2:ナナシスを知らない方向けの補足 "Are You Ready??"といえばこの曲です

*3:

【Tokyo 7th シスターズ】2nd Album「Are You Ready 7th-TYPES??」SPECIAL TV SPOT[TYPE A] - YouTube

【Tokyo 7th シスターズ】2nd Album「Are You Ready 7th-TYPES??」SPECIAL TV SPOT[TYPE B] - YouTube

*4:2017年の1月に行われた2.5ライブで生歌だったので薄々そんな気はしていた

*5:パンフレットのクレジット欄に演奏者の名前が書いてあったので事前に知ってしまった

*6:

「ハルカゼ」に込めた『ナナシス」の本質を茂木伸太郎総監督が語る | アニメイトタイムズ http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1492492387

"嘘っぱちがあまり好きではなくて。嘘くさい盛り上がりとか、インスタントな感じが嫌なんですよ。だから、ナナシスは僕の嗜好性が大きく反映していると思っています。"

*7:決して安易に真似しているわけではなく、「そうなってしまう」心の傷みたいなものなんですよ!(お前は茂木の何なんだ)

*8:冒頭での"LIVE"は生歌生演奏の"ライブ"という意味だったと受け取ってるんですが、この"LIVE"はインスタントではない(=即席で何かに成れるわけではない)「いのち」としての側面が強調されているように思いました。同じ文章(THIS IS THE "LIVE")に複数の意味をもたせる感じ、僕は大好きです。

*9:3回の公演で脳に焼き付けようと努力したのですが、表記の違いやフレーズの漏れなどあるかもしれません

*10:「ハルカゼ~You were here~」での歌詞の表記を採用

*11:「SEVENTH HAVEN」の存在や、Episode.4Uのウメを思い出します

*12:ナナシスは過去(セブンス)から現在(新生ナナスタ)へ物語が繋がって行きます

*13:踏ん張って

*14:https://twitter.com/t7s_staff/status/833269922784436228

*15:どうやら「Rebuild」のままでよさそうです

*16:少し話が脱線するのですが、作品そのものが「私」という一人称を使うことができるくらいに核があるのってめっちゃかっこいいと思うんですよ。

*17:

*18:ハル役の篠田さんのソロパートはどの楽曲でも惹き込まれるようでした。

*19:THIS IS THE "LIVE"

*20:現に、ライブが終わって数日が絶った今でも、目を閉じればあの日の光景が浮かんできます。