It's "THE 2ND GEAR" for me!!
『Tokyo 7th シスターズ』(通称:「ナナシス」)の2ndライブ『t7s 2nd Anniversary Live in PACIFICO Yokohama 16’→30’→34’ -INTO THE 2ND GEAR-』に参加してきました。ライブの内容への細かい感想とは別に、ライブを終えて僕が感じたこと、考えたことを書き残しておきたいと思います。
今の僕にとって『INTO THE 2ND GEAR』とは何だったのかという、ごくごく個人的な話です。
ナナシスにまた会えた
まず、「ナナシスにまた会えて嬉しい」と心からそう思ったライブでした。およそ1年と3ヶ月ぶりに会ったナナシスは、僕が大好きな「なにか」を確かに変えないまま、それでいてパワーアップした全力の姿を見せつけてくれました。
しかし、前回と違ってナナシスに会えた喜びの余り号泣する、といったことはなかったんです。
僕が体験したのは「ライブイベント」という特別な空間だったはずですが、不思議なことに、僕はライブ中「見知った場所」にいるような安心感に包まれていました。決してライブの雰囲気にノれなかったわけでもないのに、どこか落ち着いた、心地よい気持ちでいたのです。(もちろんテンションが上がった箇所もありましたが、やはり同時に安心感がありました。)
これはまず、今回のライブが1stと同様に、ナナシスを舞台上で表現するという姿勢が貫かれていたおかげだと思います。「ナナシスを舞台上で表現する」というのは、単に作中の曲を披露するだけではなく、ナナシスという作品がもつコンセプトを踏まえてライブを舞台上の作品として構成・演出するということです。でも、それだけなら、1stライブ同様、大好きなナナシスに会えたことに感涙していたかもしれません。
1stライブ『H-A-J-I-M-A-L-I-V-E-!!』と今回とで、変わっていたものがあります。それは、僕の中の「ナナシス」像です。1stライブ後もずっとナナシスに触れ続けるうちに、僕にとってナナシスは1stライブのときよりもかなり身近な存在になっていました。普段から親しんでいたナナシスがあの空間で表現されていたからこそ、僕は心地よい気持ちでいられたのかなと思います。なんて書くと、まるでのろけ話みたいですが。
「この夢はまぼろしじゃない」という歌詞が『僕らは青空になる』の中にありますが、確かに今回のライブは僕にとって「ナナシスに包まれた」夢のような空間ではあっても、まぼろしのように実体のないものではありませんでした。 なぜならば、ナナシスはいつも確かに僕の傍にあったからです。
だから、まぼろしのような特別な体験をして放心状態になるというよりも、大好きな友達に会ってエネルギーを貰って明日も頑張ろうと思える、僕にとってはそんな清々しい2ndライブでした。
音楽ライブ
今回のライブが前回と大きく違ったのは、『またあした』を除く30の楽曲をすべて披露した、「ナナシスの音楽」を中心に構成された音楽ライブだったということだと思います。
「“音楽ライブ”というものを真剣に考えてやりたい」
「ここで地力をつけないと続いていかない」
(Tokyo 7th シスターズ「Are You Ready 7th-TYPES??」特集 (2/3) - 音楽ナタリー Power Push)
というインタビューでの発言からも、今回の「音楽」に特化させた構成が意図的なものだったと推察することができます。実際に体験した身としては、駆け抜けるようなライブだったな、と今振り返ってみて思います。それこそ、感慨にふけっている暇なんてほとんどなく、全力で「ナナシス」を感じながら駆け抜けたライブの後は、達成感で胸がいっぱいでした。
ナナシスの音楽といえば、ライブの2ヵ月前に発売されたコンセプトアルバムでは赤と青の二つの音楽性が打ち出されていました。そして、ライブでは2030年を経由するというライブタイトルの通りIntroは赤で始まりセブンスシスターズのパフォーマンスで開幕しましたが、2034年パートは777☆SISTERSから始まりました。そして、その直後にKARAKURI、そこに対抗するようにNI+CORAという風に青の音楽性の間に「ライバル乱入」で上手く赤の音楽性を挟んでいました。赤と青の音楽性の対比で、両者の魅力を引き立て合うセットリストでもあったのかなと今になって思います。
そして、少し話が変わりますが、声優を押し出したいのか、キャラクターを押し出したいのか、はたまた作品の中身を押し出したいのか、そういったものがごっちゃになった(※個人の見解です)今の2次元コンテンツの潮流の中で、「ナナシスの音楽」という作品の部分に焦点を当てたライブをやってのけたのはやはりナナシスらしいと思うんです。
「ねぇ キミは何がしたい?」と語り掛けるナナシス自身が作品として「表現したいこと」を見失うのは絶対にあってはならないことだと思うし、茂木総監督がいる限り、そうはならないと信じています。これはファンの妄信とかではなく、ただナナシスがそういう作品であるという事実からいえることです。
今回のライブパンフレットで明かされた『僕らは青空になる』というタイトルに込められた想いであったり、あるインタビューでの茂木さんの次の発言を見ても分かります。
個人的にはちょっと儲けたいからとか、有名になるためにみたいな気持ちでナナシスをやってきたわけではないし、それこそ1つひとつ伝えたいことを表現するためにやっていることなので、自然と普通のビジネス観点からの目標とは毎度違うものになるかもですね。
Tokyo 7th シスターズ「Are You Ready 7th-TYPES??」特集 (2/3) - 音楽ナタリー Power Push
ナナシスには「伝えたいこと」があって、その想いを届けるために描かれている。その姿勢が貫かれた作品だからこそ、僕はナナシスが好きだし、一緒に未来をみたいと思います。僕もそんな生き方をしたい、と勇気を貰えるんです。
『t7s Longing for summer Again And Again』
さて、今回のライブで大きな発表がありました。「Project-7thはver.4.0へ!」として明かされたその情報は、アニメーション映像化プロジェクトの始動でした。第1弾として、アニメーションミュージックビデオ作品『t7s Longing for summer Again And Again』(仮)が発表されたのですが、この後に出てきた次の言葉、
この歌は
涙を隠しながら
誰かの背中を押すために
うろ覚えなので一言一句合っているかは保証できませんが、この言葉は、2ndライブのパンフレットでも触れられていた公式同人誌『ハジマリノヒノスコシマエ ver 8.12』での総監督のコメントの中に出てくるフレーズに酷似しているんです。
ナナシスは涙を隠しながら誰かを応援する物語です。
ナナシスからの「初心表明」と言っても過言ではないこの言葉と、今回のアニメーション映像化の発表での一致が示すのは、ナナシスの決意だと受け取りました。つまり、アニメーション映像化という次の段階に移っても、ナナシスの本質は変わらない、という意思表示だと僕は信じています。
『FUNBARE☆RUNNER』
ライブ後の8月25日にゲーム内で公開されたエピソード『INTO THE 2ND GEAR 終幕~繋ぐ手と手~』で支配人がこんなことを言っています。
「ライブが決まってからは目も回るような忙しさで、正直あんまり覚えてないんだ。ただ、毎日走り回ってたかなって。」
「僕たちが何をしたのか、いまいち実感がわかない。」
「本当に今は、自分たちのやっていることが本当の意味ではわかっていないのかもしれない。」
この記事の最初の方で「1stライブと同様にナナシスを表現するステージだった」みたいなことを簡単に書いていますが、作品を表現するステージを作ることはそんなに簡単なことじゃないはずです。エピソードで支配人が言ったように、走り回ってしんどくて、やっていることの意味なんて、作り手も考える暇はなかったのかもしれません。それでも、ナナシスは「ナナシス」として譲れない何かを表現するために、踏ん張った。
きっと、「ナナシスの今」を象徴する777☆SISTERS*1 としての最後の曲が『FUNBARE☆RUNNER』だったことは偶然じゃないと思います。あの歌はファンだけに向けられたものではなく、これからますます加速していくナナシスが、「このままあきらめたい」と思わない自分たちに向けた決意の歌でもあったのではないでしょうか。
「to be the Blue Sky... with you」
今回のライブで明かされた、ライブに込められた「言葉と想い」について。
『僕らは青空になる』というタイトルを茂木さんがつけたときにはわからなかった、2nd Album『Blue Sky Disc』Introの制作時に岡ナオキさんとのやり取りの中でようやく気がついたという、もう一つの気持ち。「to be the Blue Sky...」に続く言葉は「with you」でした。
自分だけで青空になるのではなく、君と青空になる。そんな言葉と想いがこのライブに込められていたそうです。青空になる「僕ら」とはナナシスという作品だけのことではなく、ナナシスのファンも含めての「僕ら」だったということでしょうか。
そして、画面に映し出された「with you」という言葉を見たとき、僕はその言葉をずっと前から知っていたような気がしたのを覚えています。まさに「平凡で、でもどこか懐かしい」*2 印象を受けたのです。それは決して予想外の衝撃的なメッセージではなく、むしろ、ナナシスがずっと前から伝えてくれていたことでした。
ナナシスは、歌を聴いている「あなた」や「キミ」や「君」に、いつだって語り掛けてくれていたように思います。
「準備はいいかー?テメーらー!」
「ねぇ キミは何がしたい?」
「何度だって どこにだって 君に会いに行くから」
「今すぐこの手をとって! ボクらで始めよう」
『Are You Ready 7th-TYPES??』
「動き出した夏が 今キミを待っている」
『I need you ~「僕らは青空になる」original piano arrange~』
『またあした』
数え出せば切りがありません。
「with you」という言葉に対して、僕が懐かしさや親しみを覚えたのは、ナナシスが作品の受け手に対して語り掛ける作品であることを知っていたからかもしれません。
ナナシスは既に僕の中でまさに「本来の自分に向かって語り掛けてくれる」*3、まさに青空のような存在になっていた、と言い換えることもできるでしょうか。
『INTO THE 2ND GEAR』
今回のライブは、ほぼノンストップの駆け抜けるようなステージで考える暇なんてなかったけれど、全身で感じた本質はきっと「ナナシス」だったし、それまでも僕に語り掛けてくれていた変わらない「青空」でした。
ライブ冒頭のムービーで、「This is the answer」という言葉が画面に映し出されました。そして、「変わっていくけど、変わらない」といった意味の英文が表示されていたように記憶しています。
作品のコンセプトを表現するための構成・演出、ナナシスの楽曲を詰め込んだセットリスト、ムービーに散りばめられた言葉、そして、キャスト陣の全力のパフォーマンス。
これが答えなんだ。これが『INTO THE 2ND GEAR』なんだ。ナナシスは加速する。だけど、その本質は変わらない、変えないんだという強い意志を感じたライブでした。
ライブが始まる前は、ライブ中に予想もつかない衝撃を受けて、ライブ後に観る世界がそれまでとは一変して加速する、それがギアを上げること、かと思っていたのですが、それは違いました。
『加速しても、ナナシスは変わらない。』
僕にとっての『INTO THE 2ND GEAR』は、その決意を全身全霊で受け止めたライブだったのだと、今はそう思います。
そして、加速するのはナナシスだけではありません。ハミィ閣下こと羽生田ミトは開幕時にこんな言葉を残したはずです。
「ギアを上げろ、お前ら。2nd LIVEだ。」
10月にはQoPのデビューシングル。1月には『INTO THE 2ND GEAR 2.5』。4月には幕張で2DAYSの3rd LIVE。そして、春にはアニメーションMV。
これだけではなく、きっとゲーム内でも新たな動きが始まることでしょう。
加速したナナシスに今日も明日も変わらずついていく。そんな決意を込めて、この言葉でお別れです。
「またあした」
*1:茂木総監督「やっぱりメインにあるものですよ。新しい挑戦としての旗揚げというか、あのチームでいろんなものを突破したいと思っているんです。今の『ナナシス』そのものかなと思います。」
「Tokyo 7th シスターズ」春日部ハル役・篠田みなみ&天堂寺ムスビ役・高田憂希&茂木伸太郎総監督スペシャル鼎談!|リスアニ!WEB
*2:2nd ライブパンフレット総監督寄稿文より
*3:2ndライブパンフレット総監督寄稿文より